インフルエンザワクチン供給体制確立に向けた一考察(2010年)

プロジェクト概要

2003年以降、東南アジアを中心に、中東・アフリカの一部地域などで感染が報告されていた新型インフルエンザ(H5N1)の脅威に対して、イーソリューションズとして危機感を感じ、日本のワクチン供給体制の課題ならびに解決策の仮説を自主的にまとめ、日本国への提言を行った。

ワクチンによる感染ピークの後ろ倒し・感染者数抑制の可能性
アメリカ国防総省が米国コンサルティング会社とシミュレーションした結果によると、アメリカ東海岸のニューヨーク市でH5N1インフルエンザが発生した場合、患者隔離などの対策により感染者数の低減と感染ピークを遅らせることはできるものの、感染を完全に抑えることはできず、アメリカ東海岸における死亡者数は100万人規模に達するとされた。従って、本質的なH5N1対策としては、適切な対策により、①「感染ピークを遅らせ」、②その間(4-6ヶ月間)に全国民に対してワクチンを開発、製造、接種することで、③「被害を最小限に抑え込む」ことであると考えられた。

 

日本のインフルエンザワクチン供給体制の現状と課題
当時、主要各国のインフルエンザ対策計画におけるワクチン生産体制を見ると、6ヶ月以内に全国民分のワクチンを準備することが求められていたが、日本は全国民に接種するためには5年2ヶ月もの期間を要すると試算され、日本のワクチン供給力が極端に不足している状況が推察された。イーソリューションズは、ワクチンの開発から接種までのバリューチェーンを俯瞰し、国、製薬メーカー、医療機関において、ワクチン戦略やワクチンの製造体制・製造方法に関して13の課題が存在すると分析した。具体的には、日本のワクチンビジネスは収益性が低いため製薬メーカーの新規参入が進まないといった業界の構造的課題や、鶏卵方式に起因する製造スピードの不足といった製造方法の課題などが考えられた。

 

課題解決に向けた国への提言
ワクチン供給体制における課題の解決策として、ワクチン戦略の策定、国の決定プロセスの透明性確保、ワクチンビジネスの収益性確立の支援、副作用に対する保障制度の整備等、9つの施策をまとめ、対策の必要性、課題、解決策までを一連のパッケージとして提言を行った。

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